実家

去年の今ごろ、実家がなくなった。
売り払って、母は引っ越した。
私は親元から離れたくて飛び出したのだから、あの家は嫌な思いでばかり。
でも、じっかがなくなるのは嫌だった。

ベッドタウンの一戸建て。
はじめは良かったんだ。
庭で犬が放し飼い。両隣はまだ住んでなくて、ラッキーだった。

高校の時、もうその頃は父と衝突するのは私だった。
家に帰ってきたら、知らないおっさんたちがわらわらといる。
突然、建て増し工事が始まった。
私の部屋も、出窓取り付け工事が始まった。
でも、何も聞いてない。一言も。
普通言うだろ!?
私は家族の一員じゃないのか?
全く知らなかったぞ。
ましてや自分の部屋いじられるのに、何も聞いてない。
出窓は前から欲しがってたから、それを叶えてくれたってことだけど、どういうタイプがいいとか、工事の前に片付けるとか、年頃の娘の部屋に知らないおっさんが突然出入りするなんてあり得ない。準備が必要だよ。
とにかく、その前に、家に帰ったときに、知らないおっさんがいっぱいいる衝撃と恐怖、次にそれを知らされてないという衝撃と無価値感、相談もないどころか説明さえされない、もちろん親の持ち物ですよ。
子どもって家族の一員じゃないのか?ただ住まわしてもらってるだけで、話す必要ないっていうのか?

思えばおばあちゃんを迎え入れるために、建て増しの話はもめていた。
でも、決まったとか、始まるとか聞いてない。

あの時、少しは抗議したろうか。
こう感じたことまで整理はできてなかった。
でも、もろもろの驚き、恐怖、怒り、虚しさ、素直に言葉にあの時出せたのかな。
言えなかった気がする。
なにか言えば怒られる、怒鳴られる。
出窓もつけてやるのに文句があるのかー!とか言われたような気もしてきた。
説明ぐらいしてよー!
そんな気持ちも理解されなかった気がする。
無力感だ。無価値感だ。
反抗が始まったな、めっちゃささやかなw
夜、窓から外に向かって、岡村の歌を大きな声で歌う。
Out of Blue
今すぐに君のもとへ
I give you my love, oh yeah, oh yeah yeah
んで、うるさいって母が遠隔操作されて怒りに来る。近所迷惑だって。
ご近所の気持ちより、私の気持ちを大事にしてよ
私の気持ちなんか、なんで反抗してるのかなんか、わかろうとしてくれたことがあるのか?!あなたたちは。

私があなた方をこんな風に理解しようとしているのに
なんて未熟な人間、親というものは。
そのくせ絶対的な力で支配して、
あんたらが言った一言一言が今も私を苦しめる
だから嫌いだ
ちっちゃい頃は、大好きだったのに。
パパは優しかったのに。